MT-10

ヤマハ MT-10

THE KING OF MT

MT-10 SP ABS
メーカー希望小売価格
1,998,000円 [消費税8%含む] (本体価格 1,850,000円)
車両販売価格    1820,000円
参考お支払総額  1889,660円

MT-10 ABS
メーカー希望小売価格
1,674,000円 [消費税8%含む] (本体価格 1,550,000円)
車両販売価格    1520,000円
参考お支払総額  1589,660円

MT10特徴


プロモーションムービー


特長紹介
The king of MT.
それは、圧倒のパフォーマンス。

力強い加速と、個性豊かなエンジンキャラクター。
そして、俊敏なハンドリングと、自在に操る楽しさ。
MTシリーズが創出したこの二つの要素から生み出される、かつてない官能的な走り。
それは、数多のベテランライダーの心を捉え、さらには「走る」ことから生まれる根源的な楽しさを、
新たなジェネレーションの心に深く刻み込む事にもなった。

そしていま、再び。MTシリーズの領域をさらに拡げる一台が、ここに在る。
“Ultimate Synchronized Performance Bike” その魅力の全てはこの一言に集約されている。
現在の「ヤマハスポーツの象徴、R」の遺伝子を受け継ぎ、
そこにMTならではの官能的な走りを融合した、新たな走りのスタイル。
それは溢れるパワーを自在に操る楽しさ、悦び、加えて所有する誇りをも紡ぎ出す。
ストリートを、ワインディングを魅了するスポーツライディングと、
さらには快適なロングクルージングすら可能にする、まさに懐の深い走り。
“The king of MT” の名に値するフラッグシップモデル、MT-10。
深化した官能的な走りの新たな一頁が、ここから始まる。

意のままの、頂点へ。
MT DNA × R1 DNA

01 水冷・DOHC・直列4気筒・4バルブ・フューエルインジェクション搭載エンジン
クロスプレーン型クランクシャフトの水冷・直列4気筒
動弁系にロッカーアーム式吸排バルブ駆動を装着した、最新式※クロスプレーン型クランクシャフトの水冷・直列4気筒・997cm3エンジン。スロットルワークに対し、ダイレクトな駆動力を得ることができる“クロスプレーン型クランクシャフト”ならではの乗り味。その楽しさをストリート走行でも存分に味わえるよう、吸排気系・動弁系・燃料供給系などを最適化し、ストリートに適したトルク特性を獲得。多用される常用域での優れた後輪駆動力を引き出し、9,000r/min で最大トルクを発揮する。クロスプレーン型クランクの最大特徴である、クリアなトルク感、リニアリティと相まって、MTシリーズフラッグシップモデルと呼ぶにふさわしいトルク特性を発揮する。
※2017年3月現在

02 アルミ製デルタボックスフレーム&リアアーム
YZF-R1(2015 年モデル)のフレームおよびリアアームをベースに、強度・剛性バランスをチューニングしたアルミ製デルタボックス製フレーム、リアアームを採用。フレームは重力鋳造構成部品を相互に溶接し、軽量かつ優れた強度・剛性バランスを実現。エンジン懸架は、クランクケース上下2箇所とシリンダーヘッド左右2箇所をリジット懸架。エンジンを強度部材に活用し、車体トータルの縦・横・捩れに優れたバランスを達成。これら骨格部品の良好な剛性バランスにより、MT シリーズのフラッグシップモデルにふさわしい“意のままに扱えるハンドリング”を達成。また、リアフレームは、ツーリング時のバッグ装着を想定し強度・剛性を調整したスチール製とし、機能性向上に寄与している。

03 YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)
ライダーのアクセル操作を検知したECUユニットが、「エンジン回転」と「スロットル開度」に見合った最適なスロットルバルブ開度を瞬時に演算。モーター駆動でスロットルバルブを作動、吸入空気量制御を行う。ライダーが感じる“意のままの出力と操作感”を生み出す大きなポイントとなっている。

04 TCS(トラクション・コントロール・システム)
TCS(3モード選択+OFF)を採用。発進や加速時に後輪のスピン傾向を検知すると点火時期、燃料噴射量、スロットル開度(YCC-T)を統合制御。滑らかな発進性・走行性をサポートする。制御の強さを「1(スポーティな走行を重視したモード)」、「2(通常のストリート走行向けのモード)」、「3(路面の摩擦力が低いところでの走行を想定したモード)」および「OFF」から選択できる。

05 クイック・シフト・システム(QSS)
シフトペダルの動きを検知すると、ECU演算によりエンジン出力を補正。噛み合っているギアの駆動トルクを瞬間的にキャンセルし、シフトアップ操作をサポートする。

06 アシスト&スリッパー(A&S)クラッチ
クラッチレバーの操作荷重を軽減するとともに、バックトルクによる車体挙動への影響を抑止。市街地などでの軽快な走りに貢献する。

07 D-MODE(走行モード切替システム)
エンジン特性を3つのモードから選べるD-MODEを搭載。走行環境やライダーの好みにより「3モード(さまざまな走行条件に適したモード。スムーズでスポーティな走行フィーリングを低速から高速まで楽しめる。)」、「2モード(3モードに比べ、よりスポーティなエンジンレスポンスを楽しめるモード)」、「1モード(最もスポーティなエンジンレスポンスを楽しめるモード)」を選択できる。

08 ロングツーリングをより快適に。クルーズコントロールシステム
ツーリングでの快適性向上を図る、クルーズコントロールシステムを採用。4~6 速ギアでの50km/hから100km/h走行時にセット可能。

09 ショック吸収性に優れた前後サスペンション

専用セッティングのKYB 製前後サスペンションを採用。YZF-R1(2015 年モデル)のサスペンションをベースに、MT-10専用に最適化。一般路における運動性能と乗り心地を両立したセッティングとした。フロントは43 mm径インナーチューブの KYB 製カートリッジタイプの倒立式で、120mmのストロークを確保。リアサスペンションは、KYB 製ボトムリンク式モノクロスサスペンション。路面への効率的な駆動力伝達に貢献している。

10 ラジアルマウントキャリパー装着フロントブレーキ&専用開発タイヤ

フロントは径320mmの対向ピストン4ポットラジアルマウントキャリパー・ダブルディスクをフローティングマウント。リアは、径220mmディスクの1ピストンピンスライド式キャリパーとした。また、前後ホイールは軽量なアルミ鋳造製とし、加えて専用開発のタイヤを装着。さらにABS※を標準装備している。

※車輪に付けられたセンサーがスリップを感知すると、ブレーキを制御して車輪のロックを抑制します。制動距離を短くしたり、転倒を回避するシステムではありません。コーナー等の手前では十分に減速し、コーナリング中の急制動を避けてください。

11 フラッグシップモデルを主張するデザイン


The King of MTにふさわしい、独自のスタイリングを構築。エンジン・タンク周辺に、MT シリーズの象徴である「吸気から燃焼・排気のパワーフロー」を印象づけるダクト形状をレイアウト。またサイドカウルは、走行風の整流、足周りの風の巻き込み抑止という二つの要素を視覚化。これらのバランスにより、MT シリーズ共通のデザイン要素である、力強いエンジンの存在感とパワーフローを強調するサイドビューを実現している。さらに、ボリューム感を吟味したタンク周り、ミニマムなリアビューなどにより全体の凝縮感を強調、自由に操れる軽快感と、爆発的なトルク感を彷彿させるデザインとした。またコンパクトなフロントマスクは、フィンをイメージしたパーツの組合せにより、隙間を覗かせるような造形も織り込み、キビキビした走りを視覚的に表現している。

12 個性を主張する4つのカラー
MT-10カラー
ソリッドグレー+足周りにアシッドイエローを配し、洗練された、パワフルなスポーツプロダクトとして仕上げたグレー。ヤマハレーシングブルーをより強調し、ダイナミック&スポーティを全面的にアピールするブルー。加えてマットグレーは、シンプルながら黒ベースの表情が絶妙に違う色を配し、より洗練された大人のスポーツを表現した。またMT-10 SPでは、YZF-R1Mとリレーションした専用ホイールグラフィックなどを装備。ヤマハフラッグシップをより強調する専用カラーリングを採用した。

13 アップライトなライディングポジション
シート、タンク形状、フットレスト位置、ハンドルなどの位置関係は、ニーグリップ感と下半身によるマシンホールド性を重視して設定。また、強力なパワーをコントロールしやすいように、シートにはシートストッパーも採用。また、アルミ製テーパーハンドルを装備、MT シリーズ共通のアップライトポジションとした。加えて、アップライトながら高速走行にも対応する緩やかな前傾姿勢で、スポーティな走りにも応えられるようハンドルの幅・垂れ角・しぼり角を最適化。フットレスト、シートとのバランスで幅広いシーンに対応したライディングポジションをとることが可能となっている。

14 LCDメーターパネル
視認性に配慮したLCD メーターを採用。デジタル表示の速度計、バー表示回転計に加え燃料計、距離計、シフトタイミングインジケーターランプ、ギアポジション表示などを装備した多機能タイプ。

15 その他の主な装備
MT-10 テールランプ
リア周りは、フロント周り同様に各ボルトが露出するデザインで、サイドバッグ等のオプションパーツの装着に配慮した。またLEDフラッシャー、LEDライセンスプレートランプなどに加え、メーターパネル左側には12V・DCジャックを装備している。

MT-10 SP 専用装備
16 フルカラーTFT液晶メーター
MT-10メーター
※メーターパネルは撮影用に点灯したもので、実際の走行状態を示すものではありません。

17 オーリンズ製電子制御サスペンション/フロント
MT-10オーリンズ製電子制御フロントフォーク

18 オーリンズ製電子制御サスペンション/リア
MT-1018オーリンズ製電子制御リアサスペンション

19 YRC(ヤマハ・ライド・コントロール)セッティング
ホイールスイッチで、好みに応じて設定項目を組合せ、走行モードを自在に選択できる。設定項目は「PWR(D-MODE)」、「TCS」、「QSS」、「ERS(前後サスペンション)」の4種類。さまざまな組合せの設定ができ、4パターンを記憶可能。

20 バフ仕上げのリアアーム
MT-10リアスイングアーム

21 専用ハンドルスイッチ(ホイールスイッチ)
MT10ハンドル

22 YZF-R1Mとリレーションした専用カラー&装備


シルバー×ブルーの専用カラーリングに加え、シートには専用アルカンターラ調シート表皮を採用。


開発ストーリー:MT-10
MT-10
プロローグ

MTシリーズの頂点となるモデルを造る。「MT-10」の開発は、そんな当たり前で、しかしとても難しい目標を掲げてスタートしました。

ヤマハ・スポーツモデルの血統を受け継ぐ“Rシリーズ”の最高峰として、2015年に欧州をはじめ世界の二輪市場に投入した「YZF-R1」のプラットフォームを使うこと。MTシリーズの根幹とも言えるエンジンの設計思想“クロスプレーン”コンセプトのなかでも最大排気量を有するエンジンを持つこと。さまざまな角度から開発の条件を挙げてみても「MT-10」が、MTシリーズの頂点であることは明白でした。だからこそ我々開発陣は「MT」という存在を、徹底的に考え抜きました。

「MT」とは、“トルク&アジャイル”というマシンを自由自在に操る楽しさを追求した、新しいネイキッドスポーツのカデゴリーです。スーパースポーツの派生モデルではありません。したがってMTシリーズの頂点である「MT-10」は、決して「YZF-R1」のネイキッドバージョンではないのです。

ポイントとなったのはフレンドリーさと荒々しさの両立です。サーキット最速を目指して造り込んだ「YZF-R1」をベースに、MTらしい日常での使いやすさと、MTらしい“ガツンッ!”と全身で感じる加速感を両立するのは決して容易なことではありませんでした。しかしそれを具現化するため多くの部品を新規開発し、開発に関わるあらゆるスタッフが徹底的に造り込みました。

MTシリーズの頂点であることは、走りのパフォーマンス以外においても、既存のMTシリーズを越える存在でなくはなりません。そのための機能とは何か、デザインとは何か。その答えが「FJR1300」のようなツーリングシーンにおける快適性であり、「MT-09トレーサー」のような冒険心をくすぐる機能拡張性です。

「MT-10」のオーナーとなるのは、これまで長くバイクを楽しみ、さまざまな経験を積んだライダーです。そんなライダーの要求はとてつもなく高い。しかし我々は、その要求にヤマハらしく応えたい。その答えが「MT-10」。そう胸を張って言える自信作です。

MT-10ブルーイッシュグレーソリッド4(グレー)
エンジン

誤解を恐れずに言えば、「MT-10」やそのベースモデルとなった「YZF-R1」が採用する、クロスプレーン型クランクシャフトを採用する並列4気筒エンジン/CP4エンジンは、荒々しさの無い大人しいエンジンです。

シリンダー内でピストンが往復運動すると、それに伴う慣性力がコンロッドからクランクシャフトに伝わってトルク変動を発生させます。通常のシングルプレーン並列4気筒はこのトルク変動が単気筒に対して4倍に増幅されてしまいますが、CP4エンジンはクランクピンの位相を90度ずつずらすことで、各気筒で慣性トルクを相殺し燃焼室で生み出される燃焼トルクだけを効率よく引き出しています。その結果として、良い意味で“荒々しさの無い大人しいエンジン”特性となっているのです。

そんなCP4エンジンを使って、MTらしいトルク&アジャイルの、いわゆる荒々しいほどの“トルク感”を造り込むことができるか。そこが大きなテーマでした。「YZF-R1」のCP4エンジンをベースに、数多くのパーツを一新したり形状を変更させたりしたのは、そのMTらしい“トルク感”を造り込むためであり、開発当初には計画に無いメニューでした。しかし妥協を許さず、徹底的に造り込むことができた。そこまで造り込んだからこそ、MTらしく仕上がったと言ってもいいでしょう。

なかでも大きなポイントとなったのがクランク軸上の慣性モーメントをアップさせたことです。慣性モーメントの大きなクランクはトルクフィーリングを向上させます。すなわちそれは、エンジンキャラクターに大きく影響を及ぼすわけです。その効果を得るためクランクに加え、クランク直付けACM(発電用マグネトー)の慣性モーメントも増やし、コンロッドはチタンから鉄に変更しています。これらの変更によって質量は増加しますが、MTならではのフィーリングを手に入れることができました。

また吸気および燃焼室まわりにも手を加えました。中低速域でのトルク向上を目指しピストンを新造して圧縮比を最適化。吸気バルブをφ33mmからφ31mmへと変更。吸気ポートや燃焼室の形状も新しくしました。フューエルインジェクションのスロットルボディとエアクリーナーボックス内のエアファンネル付近の二箇所にインジェクターを配置する“ツインインジェクター”は、エアファンネル付近のインジェクターを廃止し、エアクリーナーボックスの容量も最適化することで中低回転域でのトルク向上を実現しています。

そうやって造り出した、増大したトルクをいかにコントロールし、扱いやすさに繋げるか。それも今回の大きなテーマでした。とくに街乗りで頻繁に使う、アクセルの微少開度でのエンジンの反応や出力特性を、ライダーの気持ちが良いところに落とし込めるか。複数のエンジン特性を切り替えることができるD-Modeやトラクションコントロールの設定を含め、それぞれがどのように介入するのか。そのフィーリングを愚直に、時間を掛けて造り込みました。

このクラスのバイクを街中で走らせれば、エンジンは3~4000回転付近を常用します。しかも街中では様々な状況を瞬時に判断しながらの走行となり、そこでは無意識のアクセル操作が多くなります。じつはそのとき、意外にアクセルが開いていないんです。対して、追い越し加速をするときや、ワインディングなどで頑張って走る時はアクセルがしっかり開いている。ならば、そのふたつの操作を切り分け、エンジンの出力特性を造ればいいと考えたわけです。具体的には、街中を流しているときなどの、無意識でアクセルを操作している領域ではアクセル操作に対するエンジンの反応を穏やかに、アクセル開度が大きくなる、ライダーが積極的にライディングしている領域では反応をよくする。これによって扱いやすさとパワフルさを両立させることができるというわけです。

また同時に、このふたつのキャラクターをシームレスに、“イイ感じ”で繋ぎ合わせることも重要になります。しかも「MT-10」は3つのキャラクターを持つD-Modeを持っているので、それぞれのモードで、その出力特性に合わせて扱いやすさとパワフルさを造り込み、その間を繋いでいく。それは何度もトライ&エラーを繰り返し、多くのライダーの意見を取り入れながら、走行テストを繰り返して造り込んでいきました。ときにはアクセル開度に対するエンジンの反応を、グラフにしてホワイトボードに書き表すのはもちろん、気になる反応領域をピンポイントで抽出し、さらに細かく検証を続けました。そこはライダーの感性に頼る部分。ライダーの嗜好やその時の状況など、さまざま条件によって求める答えが変化する場合が多い。だからこそ開発を進める多くのスタッフが求める姿を共有できるよう目標を可視化して、しっかり摺り合わせながら造り込んでいきました。大事なのはライダーが“乗ったときの感覚”です。しかしそれを造り込んでいく過程では、必ず数字に置き換える必要があります。その感覚を数字に置き換えるところが、エンジニアリングの腕の見せ所なのです。

D-Modeの3つのキャラクターもしっかり造り込みました。これまでのエンジンモードは、名称こそ違いますが、スタンダード、スポーティ、マイルドにキャラクターが分けられ、そのキャラクターを明確にするため、それぞれが離れた個性を持っていました。その結果それぞれのキャラクターが強く、しかし明確に分類されたキャラクターは好き嫌いも明確で、複数のモードを持ちながらも、ユーザーはずっと同じモードを使用する傾向にありました。しかし「MT-10」は3つのモードのキャラクターが近い。オーバーラップしているところもあるくらいです。そうすることで、どのモードも実用的になりました。ライダー好みはもちろん、路面状況やシチュエーション、ライダーの気持ちによって使い分け、楽しめる仕様としました。

MT10エンジン
シャシー

MTらしい軽快なハンドリングと高い快適性。「MT-10」ではそれを目指しました。短いホイールベースの車体とハイパワーなエンジンの組み合わせでありながら、安定感がありキビキビと走る。フレームやサスペンションを共有する「YZF-R1」が、そもそもそういった特性を狙って開発した車体だったので、そこでのパフォーマンスは担保されていました。その優れた素材をもとに、MTらしい軽快さと快適性を高めたわけです。

サスペンションは極低速域、分かりやすく言うと大きくサスペンションが動いていない、減衰力が低い状態でのセッティングにこだわりました。硬すぎず柔らかすぎず、MT的な幅広い走行シーンにおいてしっかりと対応するよう造り込みました。またアクセルをわずかに開けたとき、要するにアクセル操作に対してエンジンが反応し駆動力が伝わった瞬間のラッシュ感を改善するため、A&S(アシスト&スリッパー)クラッチのバネの組み合わせを造り込み、ラッシュ感が少なくなるよう開発しました。ラッシュ感とは、パーツ同士のクリアランスによって生まれる“ガタ感”のようなもの。それを改善することでエンジンの反応がよく分かるようになり、それが扱いやすさにも繋がりました。さらにはシフトフィーリングを向上させるため、アームシフトのレバー比を調整し造り込みました。シフト操作が多くなる街中でその効果を得られるとともに、標準装備したQSS(クイック・シフト・システム)の使用時においても、スムーズで素早いシフト操作に貢献しています。

もちろん「YZF-R1」譲りの、車体の重さをあまり感じず、狙ったラインをトレースできるという“RのDNA”は継承しています。ホイールベースが短くハイパワーなエンジンで、トリッキーに見えるかもしれませんが安定感があり、それでいてキビキビ走るのです。

快適に乗ってもらうためのライディングポジションは徹底的に造り込みました。ハンドル位置やシート位置、ステップ位置のほか、スイッチ類のレイアウトや操作感にもこだわりました。「MT-10」ではスタンダードモデルに加え、電子制御サスペンションなどを装備した「MT-10SP」もラインナップしています。そのSPではスイッチ周りのデザインがスタンダードと違いますが、その操作フィーリングを高めるためにミリ単位で調整を重ねました。

またMTシリーズの頂点として相応しい、そして他のMTモデルにはない機能を持たせたいとも考えました。それがクルーズコントロールです。ヤマハ・ツーリングカテゴリーにおける最高峰モデル「FJR1300」に標準装備するクルーズコントロールは非常に優れていて使い勝手が良い。それを「MT-10」に標準装備することで、「MT-09トレーサー」的な多用途性も付加できると考えたのです。そのために「MT-10」はリアフレームの剛性を高め、アクセサリーとしてラインナップするサイドバッグなどの装着も考慮した造り込みを行っています。

さらに上級モデルの「MT-10SP」では、国内モデルとしては初の、セミアクティブ電子制御サスペンションを採用しました。多様性を追求した「MT-10」ですが、固定されたサスペンションセッティングを持つスタンダードモデルでは、構造上、得意なところと苦手なところが生まれてしまいます。しかしセミアクティブ電子制御サスペンションを採用することで、その時々、車速や車速から算出した加減速度により、その条件で最適なセッティングを瞬時に導き出し、その減衰力を得ることができます。

この電子制御サスペンションには、走りを重視した“スポーツ”と、乗り心地を重視した“ツーリング”のふたつのモードを用意しました。車速や加減速をリアルタイムでモニタリングし、そのとき最適なセッティングを瞬時に導き出しているので、作動性がありながら高い減衰力を得られる、上質な乗り心地を手に入れることができます。

MT-10グレー

デザイン

デザインコンセプトは「The King of MT」。MTシリーズの最上級モデルに対する期待感や、MTシリーズの頂点モデルであることをシンプルに表現しました。

MTシリーズのデザイン的な特徴は、マスの集中にあります。自在にマシンを操る「トルク&アジャイル」のイメージを視覚化するために、実質的なマスの集中に加え、車体の前後が短く、中央にギュッと凝縮しているスタイルを採用しています。また車体の内側からあふれ出すパワー感を表現するため、吸気→爆発→排気という内燃機関の行程を視覚化した“Zシェイプ”を採用しています。

そういった“MTの方程式”を踏襲しながら、最高峰モデルとしての「MT-10」の個性を如何に造り上げるかがテーマになりました。その象徴がLED二灯ヘッドライトを使ったフロントフェイスです。「The King of MT」を強く印象づけるために、あえて強い個性を与えました。

同時に、「トルク&アジャイル」を表現するため、フロントフェイス周りにさらなるテーマを設けました。それはフローティングの美しさ、そして構造物の美しさを追求することです。「MT-10」のヘッドライトは、ステアリングヘッドから伸びたステーによって支えられ、ステーそのものを隠すこと無く、シンプルに見せています。ヘッドライトを、あえて車体から切り離したように見せることで車体のコンパクトさ、また車体の凝縮感を表現しているのです。そして車体とヘッドライトを繋ぐステーを“美しい構造物”としてデザイン。また、そのことによってヘッドライトが車体から浮いているような “浮遊感”を生み出し、それによって軽快さも演出しました。演出と表現しましたが、ヘッドライトパーツをフレームマウントすることでハンドル周りが軽くなり、ハンドル周りの軽量化も実現しているのです。「MT-10」に採用したこの新しいスタイリングは、すでに兄弟モデルである「MT-09」の2017年モデルが継承し、今後MTシリーズの新しい顔となるでしょう。

MT-10ヘッドライト
またタンク周りの造形にも注目して欲しいですね。「MT-10」は、「YZF-R1」のプラットフォームを継承しており、エンジンやフレームの幅を変更していません。その厳しい条件の中でタンク容量を確保しながら、ネイキッドモデルのキャラクターを形成するための重要なパーツであるタンクの表情を造り出す。その両立に苦労しました。タンクにめり込むダクトの表情だけじゃなく、ニーパッドは内側からの力で隆起したかのような表情もつけています。車体内側からの力を感じる造形。肩の張ったタンク上面。絞り込んだニーグリップ周り。そのコントラストがMTシリーズの、タンクの表情の定番。それもしっかり継承しています。

これらの形状は、デザイナーが手で粘度を盛り、そして削るクレー造形とともに、3D–CADといった最新のデジタル機器を総動員してデザインしています。ヤマハはいま、デジタルによるデザインを進化させながら、クレー造形などのアナログ的デザイン手法との融合を図っています。それによってヤマハらしい曲面の表現を造り込む。それがテーマであり、「MT-10」はそういった手法で生まれた最新のヤマハデザインと言えるでしょう。


また「MT-10」は他のMTシリーズに比べ、より幅広い使われ方をすると想定しました。とくに1000ccの大排気量エンジンを活かし、高速道路を使用した長距離移動に使われる機会も多くなる。クルーズコントロールを標準装備した理由もそこにあります。ならば空力においてもツアラーモデルに負けない、しっかりとライダーをサポートできるウィンド・プロテクションを持たせなければならないと考えました。そこで流動解析と風洞実験によってヘッドライト周りのスクリーンやサイドカウルの形状を徹底的に造り込みました。両パーツにデザインされた強いキャラクターラインは、整流効果を高める機能的なデザインでもあるのです。

MT10
多用途性を表現するための仕掛けは、車体の至るところにデザインしています。そのキーワードとなるのがボルトです。たとえばシート後端の下側両サイドにある2つ、またシートカウル中央にひとつ、あえてボルト類を強調しています。ボルトがあることでパーツの繋ぎ目が分かり、それによってそのボルトを活用した機能拡張をイメージしやすくなります。もちろんシート周りのボルト類は、それを使ってサイドバッグやトップケースが装着可能で、その装着を前提としてリアフレーム周りの剛性を見直しています。フロントスクリーン周りのボルトも同様で、ハイ・スクリーンなど、すでにラインナップしているオプションパーツを装着することができます。デザイナーはスクリーンを外したときのスケッチにくわえ、スクリーン周りのボルトを使い、そこにさまざまなアイテムを装着したデザインスケッチも多数描いていました。直接的に楽しみ方を広げるのは「MT-10」を手に入れたオーナー自身ですが、それをサポートするように、想像が膨らみやすいデザインを行いました。もちろん、さまざまな使い方を想定した強度も確保しています。

カラーリングにおいても「MT-10」は新しい試みを行っています。日本では3色をランナップするのですが、それぞれに明解なキャラクターを与えることができました。1色目のグレーはMTシリーズの新しいイメージカラーです。アジャイルでアグレッシブな若々しい印象をMTらしく表現しました。そしてこのカラーは、他のMTシリーズに踏襲されます。スポーツバイクで、これほどソリッドなカラーリングは初めて。そこにイエローを加えてインパクトを強めました。2色目のブルーは、もっともヤマハらしい色。ヤマハのスポーツマインドを表現しています。

そして3色目のマットグレー。このタンクで採用した光沢を抑えたマットダークグレーメタリック6は「MT-10」のために開発した新色です。光りの加減によってマットに見えたりグロス(艶)に見えたり。それによってシリアスでタフな印象を造り上げました。ブラック系統色はどの車種でも人気のカラーです。だからこそ、その中でも新しい質感に挑戦しました。その光沢を抑えたマットグレーと艶やかなガンメタルを、パーツによって使い分けているので、そのダイナミックな切り返しも是非見て欲しいですね。ちなみに、そのなかにキングを表現する赤のアクセントをデザインしています。


「MT-10SP」に採用したリキッドメタルは、「YZF-R1M」のために開発したカラーです。ここまで高輝度のシルバーはヤマハ史上初。粒子が見えるメタリックな表現ではなく、キメの細かい金属調の表面を持ち、独特の“照り”があります。ハイライトとシャドーのコントラストが美しいことから、「MT-10」のタンクカバーのように、張りから絞りまである表情豊かな造形を際立たせます。

エピローグ

MTシリーズはこれまで、日常生活にフォーカスした新しいロードスターコンセプトを具現化してきました。そのなかで「MT-09」はライディングする楽しさを、「MT-07」は扱いやすさを磨いてきました。では、その最上級モデルである「MT-10」は何を磨くのか。それは多様性、しかもヤマハらしいオールマイティさでした。

それは、どんなバイクであるかと思いを巡らせると、思い当たる乗り物がありました。觔斗雲(きんとうん)です。

それに乗る孫悟空は、ときにはあぐらを搔いてのんびりと飛び、ときには前のめりになって先を急ぐ。觔斗雲はハンドルやブレーキといった操作系統を持っておらず、孫悟空の思いのままに動くのです。「MT-10」が目指したのは、まさにそんな贅沢な乗り物です。もちろん、ハンドルやブレーキはつきますが(笑)、そういった多様性は、大排気量エンジンや高剛性フレームなど、ある一定以上のパフォーマンスを持った車両でなければ実現できません。

気持ちをくみ取ってくれ、念じるがままに動き、ときに孫悟空をサポートする觔斗雲。そんないつも相棒でいてくれるのが、このMT-10の持つ個性。しかも「MT-10」は、「YZF-R1」と共通プラットフォームであることから“RのDNA”も持ち合わせています。これによって「MT-10」はRとMTのDNAを持ち合わせる数少ないモデルのひとつであり、MTのフラッグシップであると同時にCP4コンセプトのフラッグシップでもあります。そのエンジンを日本の道で楽しむことができるのです。

もし試乗する機会を得たら、ぜひ長い時間、そしてできるだけ様々な条件の道路を、設定を変えながら走ってみて下さい。そうすれば「MT-10」の真髄を、感じて頂けると思います。

MT10SP


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アクセサリー

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価格
MT10価格
メーカー希望小売価格

MT-10 SP ABS
1,998,000円 [消費税8%含む] (本体価格 1,850,000円)
MT-10 ABS
1,674,000円 [消費税8%含む] (本体価格 1,550,000円)


仕様

〈 〉内はMT-10SP

MT-10/MT-10SP
認定型式/原動機打刻型式 2BL-RN50J/N533E
全長/全幅/全高 2,095mm/800mm/1,110mm
シート高 825mm
軸間距離 1,400mm
最低地上高 130mm
車両重量 210kg〈212kg〉
燃料消費率*1 国土交通省届出値定地燃費値 *2 23.4km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 *3 14.0km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
舗装平坦路燃費 *4
原動機種類 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列, 4気筒
総排気量 997cm3
内径×行程 79.0mm×50.9mm
圧縮比 12.0:1
最高出力 118kW(160PS)/11,500r/min
最大トルク 111N・m(11.3kgf・m)/9,000r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 4.90L
燃料タンク容量 17L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比/2次減速比 1.634/2.687
クラッチ形式 湿式, 多板
変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式
変速比 1速:2.600 2速:2.176 3速:1.842 4速:1.578 5速:1.380 6速:1.250
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 24°00′/102mm
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/ 190/55ZR17M/C (75W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED×2
乗車定員 2名

(出典:yamaha-motor.co.jp)


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